2007/03/05//Mon.
春風の憂い
憂鬱を肌に纏わりつかせれば、

大方このような温度だろう。


僕はナイフを失った。

その切っ先の清廉さを、

鋭すぎた奔放さを。


―或いは幻想だったとしても―


この強風は僕を何処へ連れて行くというのか。
2007/03/05//Mon.
ミルキーグリーン
白濁した緑の水槽で

ぽつりと一匹残されたミッキーマウス・テトラが呟いた


ぼくをころしておくれよ


白濁した緑の泡が

ぽこぽこ昇っていくのを見ていた僕は

ミッキーマウス・テトラをころさずにいた


全ては自分を満たすために


白濁した緑の波の間で

あえぐミッキーマウス・テトラと

感情の表れない僕の瞳


唯一つ 思い通りにしたかった だけ




2005/2/20
2007/03/05//Mon.
オレンジ
最後に貰ったオレンジを持って

廃墟に出掛けようか

口笛吹きながら歩こう


汚れた埃色の小学校で

床板をリズミカルに鳴らして

お手玉している丸いオレンジの

何と色鮮やかなことか


愛するが故に全てを捨てよう

僕の眼が濁り切る前に


美しいオレンジを投げ上げた

教室の床に火を点けた

ガソリンばら撒いて


埃色の校舎が染まる

いつかの夕日のオレンジ色 と

投げて落ちた 潰れたオレンジ


僕はオレンジに囲まれて

彩られた終末を


今 君に逢いに行こう




2005/1/25
2007/03/05//Mon.
眠りの森
僕の孤独 影 エゴ 欺瞞

嫌なもの全部 瓶に詰め込んで

黒く流動するのを見て

悦に浸るんだ

甘美な眠りの森で


解き放ったら僕は壊れるから

丁寧に扱ってね


この瓶を君に託そう

眠りの森に 全て囚われる前に




2005/1/16
2007/03/05//Mon.
光と影
光があり影がある

影があり光がある

影ばかりの場所を人は恐れ 光を灯す

光ばかりの場所を人は恐れるか

私には恐ろしくて仕方がない 影を灯す

私達が生まれたのは影

死ぬのも影に帰るだけ




2004/11/29
2006/11/29//Wed.
空気
空気が欲しい

吸っても不快にならない

吐いても不快にさせない

人が人と生きるための

「空気」が欲しい


ガスボンベとかに入れて

コンビニで売ってないかな


そしたら僕は

滞りなく生きていけたかな
2006/11/15//Wed.
ワンダーランド・イン・シャッター
私だけの国には、その幼稚さには不釣り合いな、冷たくて頑丈なシャッターがついている。
人がこの世界に害を為すと見なされたとき、全てを断絶して、安息を得るためだ。
しかし今、このシャッターは、見えない或る力によって下がらなくなってしまった。
遮りきれない外界との隙間から、人が、思いが流入して、口々に刃を吐き出してくる。
それら全てが、「愛」と呼ぶものだったのだけれど、今はただ、痛みしか感じられない。
それが苛立たしくて、悲しくて、苦しくて、泣いてばかり。
外が恐くて、出ていけないのに、早く行かないと私は死んでしまう。

外を恐がるのは、そこに最低限の「私」すら存在しないから。
「私」がいないから。
他の何もかもがあっても、「私」は存在できないから。
自信さえ許されないなら、独りで、誰もいない世界で死にたい。
何よりも、「私」が欲しいよ。

ねえ、お願い、このシャッターをどうにかするの、手伝って。
2006/10/25//Wed.
歩いた道
僕らの歩いてきた道


遠くて、長くて。

踏みしめた足跡も消えてしまうほど、

歩いてきた年月を、重ねて。


いつかその、日々の塔は崩れるけれど


これまで歩けて、嬉しかった。

これからも、共に行こう。

道が果てても、

この身朽ちるまで。

この心折れるまで。


崩壊する記憶たちを、振り返らずに
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